熱硬化性樹脂とは、加熱することで重合反応が進み、三次元の網目構造を形成して硬化する樹脂のことです。
一度硬化すると、再び加熱しても軟化せず、どんな溶媒にも溶けません。
そのため、耐熱性や機械的強度が高く、形態安定性や耐溶剤性にも優れています。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂は、加熱することでそれぞれどのように変化するかで分類されます。
熱可塑性樹脂は加熱すると柔らかくなり、溶けたり流動したりします。一方、熱硬化性樹脂は加熱すると架橋反応が進み、硬化します。一度硬化すると再び加熱しても元に戻りません。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の違いを身近なもので例えると、クッキーとチョコレートがよく使われます。
クッキーは焼く前は液体ですが、加熱すると固体になります。そして、その後加熱しようが冷却しようが元の液体には戻りません。これが熱硬化性樹脂の特徴です。
チョコレートは常温で固体ですが、加熱すると液体になります。しかし、その液体を冷やすと再び固体になります。これが熱可塑性樹脂の特徴です。
また、熱硬化性樹脂には性能を付加するために強化材として、布(綿粉、布チップ)、紙、木粉、ガラス繊維、炭素繊維などの基材が使用されます。
布チップについては当社が創業当初から生産し大手フェノール樹脂成型材料メーカーへ納入するなどの実績があります。
熱硬化性樹脂にはさまざまな種類がありますが、代表的なものを以下に紹介します。
フェノール樹脂(略記号:PF)
フェノールとホルマリン(ホルムアルデヒド)を触媒存在下で縮合した熱硬化性樹脂。
ノボラックタイプとレゾールタイプの2種類がある。
ノボラックタイプ・・・酸性で反応させた物
レゾールタイプ・・・アルカリ性で反応させた物、自硬化性、NA材
【特徴】機械的強度、電気絶縁性、耐酸性、耐水性、耐熱性が良好
【用途】電気機器、機械部品、自動車部品
不飽和ポリエステル樹脂BMC/SMC(略記号:UP)
不飽和ニ塩基酸にエチレングリコールなどの多価アルコールを加熱縮重合して架橋剤を加えて作った熱硬化性樹脂。
BMC(Bulk Molding Compound)・・・バルク状
SMC(Sheet Molding Compound)・・・シート状
【特徴】電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、低圧成型が可能、ガラス繊維で強化された物は強靭
【用途】電気機器、絶縁フレーム、大型構造部品
ユリア樹脂(略記号:UF)
アミノ基を盛った化合物にホルマリンを縮合させて作った熱硬化性樹脂。
【特徴】無色透明、着色自由、電気絶縁性、成型性良好
【用途】配線部品、ボタン、キャップ
※半透明製品が得られる反面、物理的強度が弱くなり、収縮が大きい為にクラックが生じやすい。
ジアリルフタレート(略記号:DAP)
無水フタル酸とアリルアルコールとのジアリルエステルをスチレン、酢酸ビニルなどで架橋・硬化させた樹脂。
【特徴】耐衝撃性、電気絶縁性、低圧成型が可能
【用途】ソケット、コネクター、機械部品、通信機器
カーボン材/炭素性強化プラスチック
強化材に炭素繊維を用いた繊維強化プラスチック。
【特徴】高強度、軽量、寸法安定性【樹脂】フェノール樹脂
【用途】金属からの樹脂化【繊維】PAN系炭素繊維
【手順】
①成型材料を秤量
②成型材料を高周波プレートで予熱
③金型温度を150℃~180℃に設定
④金型に材料を納入
⑤加熱状態で圧力をかけ熱硬化
⑥硬化後、成型品を取り出す
・高周波プレヒータなどによって成型材料を予熱しておくことで成型時間を短縮し、成型品をより均一に硬化させることができます。
・成型材料を投入後、約200kgf/cm²の圧力で型締を行います。
・成型サイクルは1mm/1分で硬化が進みます。
(製品の厚みが10mmの場合、成型サイクルは約10分間)
お気軽にお問い合わせください。